* * *  恒常的孤独解消術  * * *
  You live like a only, but not a lonely


女ってのは、始末が悪い。

こっちの言いたい事をいつまでたっても理解しないくせに、
こっちの言って欲しくないことまでべらべらと言っちまう。
そのくせそれを責めたら今度は「あら、いけなかったの?」だ。

全くもって、女ってのは始末が悪い。


「そういえば知ってましたか?
 人って何も外部刺激がない所に閉じ込められると、
 3日で発狂しちゃうんですってねー」
マララーがのほほんと会話の口火を切る。
「あ、それこの間テレビでやってましたね。
 ストレスや恐怖心で精神が圧迫される所為だからですよね」
「だとするとマララーが一番最初に発狂しそうだなオイ」
「メンタル弱いもんなアヒャヒャ」
会話にモララーとギコ、つーも参加した。
オレが煙草をくわえて火をつけている間に、わいのわいのとてんでに勝手な想像が始まる。
「モナ兄は頑強そうだよなゴラァ」
「そうかなーエヘ」
フサが言うのに、モナ兄がテレながら返す。それにモララーが口を挟んだ。
「確かにモナ兄さんは 絶 対 大丈夫そうですよね」
「何で?」
モナ兄が首をかしげる。モララーが神妙な顔をして答えた。
「…それはモナ兄さんの名誉の為に言えません」
「言っちまえよ、バカだからってな、アヒャ!」
「オイコラつー!
 兄さんを馬鹿にするなあっ!」
「ヒャヒャヒャー」
…これくらいで涙ぐむなよ、バカ。
爆笑するつーを放って、マララーがしぃに問い掛けた。
「しぃちゃんは誰が一番メンタル弱いと思います?」
…オイ、いつのまにか論点変わってるぞ。
しぃは一寸考えてから、口を開いた。
「んー…フーン君かなあ?」
「フーン?」
「フーンですか?」
オレ?!
しぃを思わず凝視する。他のメンバーも、しぃに視線を集めていた。
しぃは、動じた風もなく、きょとんと皆を見返す。
ギコ兄がしぃに訊ねた。
「何でフーンだと思うんだゴラァ?」
「そうですよ。
 フーンなんか真っ暗闇に一週間閉じ込めても、平然としてそうじゃないですか?」
しぃが答える前にモララーが口を出す。他のやつらもああだこうだと言い合う。
…本人の目の前で、本人抜きで。フーン、別にいいんだけどな。
オレについての議論に白熱するやつらを横目に、
俺はしぃにだけ聞こえる声量でそっと訊ねた。
「…さっきの…なんでそう思う?」
しぃがおっとりと微笑み、オレに視線を合わせる。
妙に見透かすような視線にどきりとした。

「…だって、フーン君、
 一人(オンリー)は得意だけど、独り(ロンリー)は嫌いでしょ?」


これだから女ってのは、始末が悪い。


孤独になったとき、多分一番弱い人。


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